柴犬の散歩コースに現れる野良猫たちは、猫の保護団体さんと協力してほぼ100%去勢施術を終えた子たちです。
新参者との出会い
今から約1年前。
飼い犬の散歩中、いつもの馴染みの地域猫の他に一匹の見かけない子がいました。
人への警戒心が強いようで駐車場内を匍匐前進で歩いていました。でも、バレバレの匍匐前進がおかしくて、その子を新参者と呼ぶことにしました。
それから2、3ヶ月、毎日会う地域猫たちにご飯をあげる際、少し離れた場所で新参者もご飯を待っています。
但し、新参者は、直接ご飯をあげようとすると威嚇して「そこにご飯を置いていけ!」的な態度で人は近づけてはくれません。
しばらく経つと新参者を見かけなくなりました。「どこか別の地域に行ってしまったんだなぁ」と思っていましたが、約3ヶ月程前、また新参者が現れたのです。
相変わらず警戒心が強く、近づくと威嚇をしてきます。カリカリを少し置いてあげ、少し離れたところで見ると、カリカリを食べには行くのですが、歩き方がフラフラしていました。
捻挫などの怪我ではなく、体の内部からきている何かの病気だと感じました。それからは毎日、朝夕同じ場所に現れるので、水とウェットフードを持っていくようにしました。新参者は犬の首輪の音が聞こえると、低い唸り声で「ここにいるよ」と呼んできます。
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体の状態は日に日に悪くなる感じがしました。高い塀には登れなくなり、普通に歩くのも転倒したりと言う感じです。
嫁さんとの家族会議
この頃、嫁さんと家族会議をしました。
この子(新参者)を保護して病院で治療をするか、その治療後にどうすかなどの話しです。
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いろいろ考えました。
もし、重病で高度医療や手術になった場合その治療費はどうするのか。重病だった場合、犬猫の医療費はかなりかかります。
いぜん野良猫で、今は家猫として保護した子の医療費(手術、入院など)は7桁近くかかりました。現在、家にはその子を含めて犬1匹と猫2匹がいます。これからも何があるかもわかりません。また、他にも生まれた時から可愛がっている地域猫が7匹います。
「新参者を助けたら、他の子たちはどうする?」こんな話しをしました。「自分が犬猫好きで有名な芸能人の坂上忍さんくらい経済力があれば・・・」こんなことが頭をよぎることもありました。
話し合いの結果、苦渋の決断をすることに。家にいる犬、猫の三匹以外は「医療の手助けはしない」と言う決断です。念のため猫の保護団体さんにも相談しましたが答えは同じでした。
だからと言って新参者を放置する訳ではなく、これまで通り毎日ご飯とお水はあげに行きます。犬の散歩時に現れない時は、もう1度その子のためだけにご飯をあげに行ったり、出来る限りのことはしてあげました。
偶然、仕事帰りの嫁さんと同じ場所で会ったりした事もありました。嫁さんは自分よりも優しいの人なので、仕事帰りにわざわざ迂回して新参者の居場所へ立ち寄っていたのです。
もしかしたら、思っているほど重病ではないのかも・・・。
そんな淡い希望を持っていたこともありました。
最後の一週間
ご飯をあげに行くといつものように低い声で自分の存在を知らせてきます。器にいれた水とご飯を近くに置きます。いつもはそこからヨタヨタ出て来てご飯を食べるのですがその日は出て来てくれません。
次の日も同じでした。
低い鳴き声は聞こえるのですがご飯を食べには出て来ません。でも鳴き声の先は、他人の敷地内のため立ち入ることはできません。
そして、この日を境に新参者の声を聞くことはなくなりました。いつもの時間、いつもの場所に行ってもあの子はもう現れません。
過去にも数日間出てこなかったことがあったのですが、その時は何となく気配を感じることができましたが、不思議なもので今回はまったく気配が無くなったことがわかります。
それでも、念のため犬の散歩が終わってからも新参物がいた場所へ何日か行きましたが、やはり声を聞くこともありません。
いなくなって数日後、嫁さんが散歩中に夕焼け雲を見ると、その雲の一部が新参者のシルエットにそっくりだったそうです。
きっと、最後の声は、僕らにお礼の挨拶をしてくれたのだと思います。
結局、新参物には一度も触れることもありませんでしたが、今度、猫として生まれ変わってきたら幸せな家庭にもらわれることを心から祈っています。
元気でね!新参者。
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